オレンジ色の奇跡

 秒針が進む音が響く部屋。お互いに口を閉じたまま時が過ぎる。あー。俺、このまま寝そう。そのくらい、この状態にリラックスしてる。

 でも、このまま寝れば二人揃って風邪引くな。

「寝るか?」

 仕方ないと思いつつも、こてんと首を横にやってる相川に静かに聞いた、が。

 返事がない。

 っていうか、重。なんつーか……ああ、相川俺に寄りかかって寝てる。「すーっ」とか、気持ち良さそうに寝てる。

 起こさないように抱き上げた俺は、気持ち良さそうに寝る相川の寝顔を見た。

 かわいい、って思うけど、盛りのついた高校男児に抱きついて、後ろから抱きしめられて寝れるって、おい。

「はあ……」

 ため息が出るほど呆れた女だ。危機感っていうのが足りねえ。

 ……それでも。薄く開いた桜色の唇を見ると、愛しく感じる。触りたくなって、自分のそれをぶつけたくなる。

 ま、そうなることが朔真さんの目的、だろうな。

 本当、ろくな事考えねえよな、あの人。頭良いくせに、ホント意味分かんねえ。

 それより、俺、今日寝れねえかも。

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