オレンジ色の奇跡
ケーキの甘さと恋の甘さ
目が覚めるといつもと雰囲気が違う部屋。
そうだ……、岩佐先輩がいるからだ。
床に布団を敷いて豪快に、でも気持ちよさそうに寝ている。
岩佐先輩を起こさないようにベッドから静かに降りて近づいた。
規則正しい寝息が聞こえる。
あたしは先輩の頭を撫でた。
先輩の髪の毛は染めすぎたためか痛んでいる。
「………かわいい」
思わず声に出していた。
ほっぺをつつけば、
「……んん」
可愛い反応を示してくれる。
このままだと先輩が起きるまで遊んでしまいそう。
あたしは、朝食とケーキを作るためリビングに向かった。
朝食を作り終わりケーキを作っていると朔兄が起きてきた。
「朔兄おはよ」
「あ………おはよ」
「ご飯できてるよ?」
「舞希………。昨日は八つ当たりしてごめんな…」
「そんなことで謝ってるの?人の部屋で酔いつぶれて寝てたことは?
あとで、岩佐先輩に謝ってよねっ」
「あ……うん。
………もしかしてそれケーキ?」
「そうだよ?」
「うわー最悪…」
「いいじゃない、別に作ったって。あと少したったら岩佐先輩起こしてきてね?」
「………はい」
甘いものが嫌いな朔兄には可哀想かもだけど今日くらい良いよね。
岩佐先輩にお礼がしたいんだもん。