オレンジ色の奇跡


 しばらく顔を埋めていれば耳まで真っ赤なのではないかと錯覚するほどだ。


「……なぁ」

「はぃっ?」

 いきなり話しかけられたので声が裏返ってしまった。

 そのことを少し気にしながら岩佐先輩を見ると、真っ直ぐ前を見つめている。

「………相川って、か………っ!」

 先輩は、口を開きながらあたしを見た途端、歩くのを止めあたしの頬を両手で包んだ。

「っ!!!?」

 あたしの顔をジッと穴があくのではないかと思うほど、近くで見つめるものだから、恥ずかしさのあまり目を逸らしてしまった。

「顔……赤いぞ。熱あるのか?」

「っ!………違っ!」

 あたしは、熱があることを否定しようと逸らしていた視線を戻せば、さらに先輩の顔が近くにありよく見ると先輩の顔は染み一つなく綺麗なもので羨ましいかぎり……。

 ……なんて、考えている暇もなく、徐々に顔が赤くなるスピードが、はやくなっているような気がしてきた。

「おいっ?大丈夫か?」

 先輩の手があたしの額にのびたのが見え数秒後には、大きな男らしい手が額を覆った。

「なっ!!!……ぃ……ゃ…っ」

 無意識に先輩の肩を押して数歩離れる。



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