ヒトメボレ[完]
その日一日は当然仕事にならなくて。

ぼーっとしてばかりいる私を見て同僚たちは病気じゃないのかと心配掛けたけど。

ミスだけはなんとか無しで一日を過ごし、仕事が終わったことをメールで伝えた。

すぐに返事が返ってきて、私の最寄駅まで来てくれるという。

朝の電車じゃない、彼に会える。

私のために、会いに来てくれるなんて、昨日までの私には夢のような出来事。

化粧も直し、会社を出て駅へ向かう。

まだ少し早いかな?と思ったけど、改札へ向かうとちょうど駅から彼が出てくるところで。

「マユさん」

ニッコリ手をあげて笑う彼に、顔が赤くなるのがわかる。

「大野さん、わざわざありがとうございます」


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