ヒトメボレ[完]
早足で改札を通ると、ちょうど向こうから彼女が走ってきたところだった。

「マユさん」

自然と笑顔がこぼれてしまう。

軽く手をあげて名前を呼ぶと、みるみる家に赤くなる彼女の顔。

・・・面白い。

「大野さん、わざわざありがとうございます」

息を切らせて俺の前に立った彼女は、俯きながらそう言うと、耳まで赤くしていた。

「はは、大野さんって。ヨシキでいいです」

俺の言葉に顔をあげか彼女と、目があった。

背が高いと思っていたけど、こうして立って並んでみると、本当に高い。

俺の周りには背の高い女性が多いけど、170センチくらいあるんじゃないだろうか。

俺も背は高い方なので、彼女と並んでもバランスは悪くないと思うけど。

赤い顔のまま俺を見上げる彼女がかわいくて。

「お腹すいてませんか?どこか入りましょうか」

ここでこうして見つめあっているのも悪くはないけど、どこかで落ち着いて話がしたい。
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