Moon Venus
花音が出してくれた、黒のブーツは、あたしの恰好にピッタリだった。

「詩音、もしかしてまた手ぶら?」
「携帯と財布はちゃんと持ってますが?」


ほらっと花音に見せたのは、愛用のスライド式携帯とシャネルの財布
もちろん、花音と両方色違い

「バッグの一つでも持とうよ…今持ってくる!」


ブーツを乱暴に脱いで、あたしを押し退けて二階へと上がって行った花音


溜め息の一つもつきたくなる

着るのを忘れていたフードを着て、マフラーをまいたら花音が降りてきた


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