Moon Venus
「いやぁーもう満足!」

花音の顔は、そりゃもう満足感で満たされた顔をしていた

あたしも花音につられて服を買ってしまったが、満更でもない

花音の服はあたしが選び、あたしの服は花音が

お互いがお互いの好みを良く分かっているだけに、自分で選ぶよりも相手に選んでもらった方が失敗しない

「なんかさ~…」

いきなり立ち止まった花音はあたしを見るなり、あたしのマフラーを直して背中にあったフードをかぶせ

「やっぱり、詩音って髪隠すと綺麗な顔した少年って感じ!」

わけのわからないことを言いだした

「ちゃんとした女です!あたしは」

「わかってるよ!あたしも詩音みたいなカッコイイ女になりたかった…」

さっきまで緩んでいたのに、旬っと俯いた花音を見て、

「あたしは、花音になりたかった…」

そう小さく呟いていた



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