Moon Venus
先頭にいるクローディアより前へ歩こうとするシオンにティナが名前を呼んで制
したが

「大丈夫」


ティナに笑顔を向けたシオンはクローディアより前に立っていた



ゆっくりと手をかざそうとするシオンをみて


開くわけがない


そう思っていたが、まっすぐに手をかざした瞬間、入口がブアッと大きく開き、
風が流れた


メリザとティナはものすごく驚き、それよりも遥かに驚いていたのはクローディ
アたちだった


王家に人間がパレスを開ける際、入口は小さな穴から、徐々に人が通れる位の大
きさへ開くのに対し、シオンはいきなり、王家が開けるよりも大きな入口を開け
て見せたのだから



「…そんなっ」

誰かが呟いた言葉に、誰もが唖然とした




王家以外の人間をパレスに入れると、パレスはその人間を拒否するのに、シオン
と手を繋いでいるティナにパレスは拒否しなかった




後ろから追いかけてこないみなに


「…入らない…のですか?」

何も知らないシオンだから、言える言葉

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