それでも貴方が好き。
「何のCDだろ?」

そのCDには

─新人歌手HARU─
─最初のシングル“君の幸せのため”─


と書いてあった。


「ってこれ、あのCDショップで見た……!」

あの時買わなくてよかったと思った。

「…聴いてみるか。」

いい曲だったら学園祭で唄おう。


私はCDをプレイヤーにいれて聴いた。





──

君はいつも僕の隣にいる

手を伸ばせば届きそうなほど近くにいるのに

手を伸ばしてはいけない

手を伸ばせば僕は絶対に離さないだろう

離せないだろう

そんなことになっても周りが悲しむだけ

僕と君しか幸せにならない

だから僕は君から離れた

君に…みんなに幸せになってほしいから

悲しむのは

僕だけ…

僕だけでいいんだ…

君の全てが好きでした

今でも好きだよ

君のこと



───



「………」

この歌を聴いてからなんともいえないような気持ちになった。

きっとこの歌には歌手…HARUの恋の全てが綴られているんだろう。


好きな人の幸せを願うHARUはすごいと思う。



「…よしっ、学園祭はこの歌を唄おう!」
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