Powdery Snow
「さぁって何それ」
そう言ってケラケラ笑う絵梨佳に「この学校なんだけど…」と呟く。
「えっ、何で知らないの?男?」
「うん」
だって名前も何も聞いていないし…
知ってるのはムカつく強引、男ぐらいしか知らない。
でも、このマフラーどうしよう…
探すって言っても6クラスもあるんじゃ探すのもめんどくさい。
だからと言って捨てるわけにもいかないし…
「ねぇ、絵梨佳ちょっと探すの着いて来てよ」
絵梨佳は手に持っていた鏡を机の上に置き、たっぷりマスカラをつけた目をパチパチさせる。
「いいよ。でも誰なの?」
「だーから、わかんないってば」
あたしはマフラーを手に握りしめ、眉を寄せながらため息混じりに話す。
知ってたらすぐに、このマフラーだって返すよ。