Powdery Snow
立ち上がって足を進めるあたしの背後から「わかんないって、それがわかんないよ」と絵梨佳の声が飛んでくる。
ちらっと後ろを振り返ると絵梨佳は髪をいじりながら立ち上がり、足を進める。
教室を出た廊下は寒いわりに人が溢れかえって賑やかで、正直こんな人達を見ると探すのも嫌になってくる。
廊下にいる人達を見るかぎり、その昨日の男は見当たらなかった。
1組の教室を覗くと数人居るだけであの男の姿はなく続けて2組の教室も居なかった。
3組の自分の教室を通り過ぎて4組も見たけど、あの男の姿はなかった。
「ねぇ、居たの?」