Powdery Snow
かじかむ手でギュッと箱を握りしめ目の前に見えるコンビニまで足を進めた。
空から降ってくる粉雪はラッピングに染み込み模様をつくる。
コンビニの出入口の横にある小汚いゴミ箱の前に立ち一息吐いた。
白い息…
フワッと消え去るように、この箱も入らない。
「捨てんの?」
背後から聞こえた声に体が飛び跳ね、持っていた箱を隠すようにして後ろを振り返った。
コンビニの出入口のドアにもたれかかる人影。
緩めに付けた紅色のネクタイにダボッとしたセーターを着て、しっかり口元までマフラーをあげている男。
茶金の髪の毛からチラッと見えた耳には光るピアス。
どう見ても周りから見るとヤンキーと言うか軽そうな男にしか見えない。