Powdery Snow

その手の平にポトンと置かれた丸い銀色。


…500円玉。


「えっ、何で?」


目線を上げると弘人は手に持っているミルクティーを軽く振った。


「だって、お前の金で買ったし」

「あー…そっか」


あたしは迷わず500円玉をチャリン…っと自販機に入れココアを押した。


本当は…

本当はミルクティーが良かったと思う自分がいた。

だけど“あっ、俺と同じぃ〜”と絶対、この男は言うだろう。 


だから、あたしはあえてココアにした。


ココアを取り出し、その横の小さな穴から小銭を取り出し「はい」と言って残りのお金を差し出した。


ミルクティーを飲みながら軽く首を振る弘人に「何で?」と返す。


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