Powdery Snow
「いらねぇよ。やる」
「あたしだっていいよ」
「素直に貰っとけよ」
そう言われて軽く握っていた拳を開くと、手の平に転がっている丸い小銭たち。
しばらくの間、立ち尽くして手の平を見ていると「そんな380円ごときに迷うなよ」と後ろの方から声が飛んできた。
チラッと後ろを振り返ると、ダルそーに椅子に腰掛けている弘人を目にする。
ポンポンと自分のズボンのポケットを叩いて“入れろ”と目線で合図をしてくる。
そんな姿を見て、あたしは「ありがと」と呟きブレザーのポケットに小銭を押し込んだ。
「授業は?」
そう自分から声を掛けて、弘人の目の前に腰を下ろしている自分に正直ビックリした。