Powdery Snow
白い吐息を吐きながら両手をポケットに突っ込んでいる男は、あたしと同じ学校の制服だ。
「ねぇ、捨てんの?」
再度聞かれた言葉に眉を寄せ「何のこと」と目線を逸らす。
「何の事って、ほら後ろに隠してるやつじゃん」
“関係ないじゃん”
と口を開こうとした瞬間、男はあたしの後ろに回り込み、手に持っている箱を奪い取った。
「ちょっ、何すんのよッ」
声を上げて奪い返そうとするものの男は両手を高々と上げ「捨てんの勿体ねぇ」と呟く。
「捨てるなんて言ってないじゃん。返してよっ」
男の腕にしがみ付きジャンプをして飛び上がる。
だけど、あまりの身長の差で取り返したい箱まで手が届かない。