Powdery Snow
実際、無惨に捨てられたチョコを見ると5回目の苦労が…
って思う自分がいた。
だけど、だけど何であたしのチョコ食べてんのよ!
そんな綺麗な顔してると、いっぱい貰ってるくせに。
「何…嫌がらせ?」
「は?」
「どうせフラれて可愛そうとか思ってんでしょ?」
「思ってねぇよ」
「あんたなんか色んな女から貰ったやつ食べ尽くして美味しいって笑顔振りまいてんでしょ」
眉を寄せ睨み付けるあたしを見て、男は軽く息を吐き自分の首元に手をあてる。
そして首元に巻かれたマフラーをスッと取り外し、それをあたしの首に巻き付けた。
巻かれた瞬間、冷たい風にあたっていた肌がほんわかと温かくなり、マフラーに染み込んでいる甘い香水の香りが鼻の奥へと入り込んだ。