Powdery Snow
「何?」
「マフラー」
「頼んでないけど」
「俺も頼まれてないけど」
この寒い季節の中、男は胸元までシャツがはだけ、その首元にはシルバーのネックレスが光っていた。
ダボッとしたセーターと着崩した制服からだって全然温かさなんて感じないし、それよりその肌けた胸元が寒そうに感じ、あたしは巻きつけられたマフラーを取って男に差し出した。
「いいよ。あんた風邪ひくよ」
男は深く息を吐き、あたしの差し出した手をギュッ…っと握り締めた。
えっ…、
「人の心配より自分の心配しろよ。セーターも着てねぇしマフラーだってしてねぇし馬鹿じゃねぇの?手、冷えすぎじゃん」