White Kiss~恋を知るまでの期間~
「雄太…。わがまま言ってごめん」
その言葉しか出てこなかった
息を整えながら雄太は言う
「美那が初めて言ったわがままやろ?叶えたらなあかんやろ?」
そう呟く、雄太は照れているのか違う方向を向いていた
雄太の顔を覗き込むとき見えたクリスマスツリー
キラキラ輝いていて、厳かで、優しく点灯している
それと同時に見えてきた街のイルミネーション
なんだか、私たちを暖かく見守ってくれている気がする
10年前に言ったこと、許してもらえる気がする
謝ろう
後悔しても始まらないならちゃんと謝ろう
「店に行こ。ちゃんと予約してるから」
そう言って、雄太は身体を離す
私は少し名残惜しい
そう感じた自分が恥ずかしく俯く
「行くよ」
勝手に手を繋がれた
店までの道のりを雄太の半歩後ろの距離で歩いてく
道はイルミネーションが私たちを見守るように照らしていた