御影の王
「御免こうむる」

俺は間髪入れずに答えた。

「俺は負けず嫌いでな。やりもせぬうちから敗北など認められぬ」

「馬鹿か貴方は!」

さしもの乙女も、ついに声を荒げた。

「ただの剣道場での試合とは違うのだと、何度言えばわかる!?敗北は死に繋がるのだぞ!?素人が首を突っ込んでいい世界ではないというのがわからぬのか!?」

「その素人と引き分けたお前から見て、俺はどうだ?」

俺は逆に乙女を見据えた。

「その争奪戦とやらで、俺はどこの馬の骨ともわからん連中にあっさりと息の根を止められそうなほど脆弱か?」

「……!」

俺の言葉に、乙女は再度言葉を詰まらせた。

…言い忘れていた。

俺は足の速さの他に、論戦にも自信がある。

知っているかもしれないが。




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