御影の王
「もういい!」

怒りを露わにして、乙女は俺の横をすり抜けていった。

「そこまで馬鹿ならば私の警告など理解できはしまい!勝手に戦い、勝手に死ぬがいい!言っておくが!」

乙女は長いツインテールの髪を翻して振り向く。

…その表情は、戦場に立つ凛々しき戦乙女そのもの。

「次に貴方と相対する時は敵同士だ。刃を互いの喉元に突きつけ合う殺し合いの対象…それでも後悔はないのだな?」

「無論だ」

背を向けたまま、俺は頷く。

「わかった」

小さく呟いた後、乙女は屋上を降りていく。

扉を閉める音だけが、俺以外誰もいない、屋上に響いた。






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