御影の王
突きつけられた得物は、背後の人物の鼻先でピタリと止まる。

「…長物の扱いも、『あいつ』と寸分違わずね」

そこに立っていたのは四門メグだった。

「……」

俺は突きつけた得物をそのままに、彼女を見据える。

もしや、この女も争奪戦の参加者だろうか。

無言のままの駆け引きが続くが。

「ああ、ご心配なく」

長い髪を片手で払いながら、彼女はニヤリと笑った。

「私、争奪戦の存在は知っているけど参加者じゃないわ。生憎と招待状は届かなかったしね…興味もないの。そういうのは『人間同士』でやってちょうだい」

「……?」

意味のわからない事を言う。

「ならば何しにここに来た…?」

俺の問いかけに。

「フン」

片手で俺の得物を静かに払いながら、彼女は背を向けた。

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