御影の王
「言うなれば激励かしら」

「激励?」

得物を携えたまま、俺は更に問いかける。

「何故お前が俺を激励する。大して親しくもない、クラスメイトでしかあるまい」

「そうね、でも私は一方的に貴方と乙女を知っているわ。共闘もしたし、信頼もしていた数少ない『人間』の一人よ。そして、『この世界の貴方』もまた、戦いの世界に足を踏み入れようとしている。戦友としては、激励せずにはいられない。違う?」

…初見の時からそうだったが、この四門という女の物言いはどうにも難解だ。

俺には理解できない事を言う。

「何を言いたいのか全く解せん。それに」

皮肉笑いを浮かべながら。

「お前に激励されずとも、俺は俺のやるべき事をやるだけだ」

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