御影の王
第六章、「『不可能ではない』のだろう?」
通りの灯りが差し込む裏路地で、私と紅は身構える。
…二人だけだ。
敵の姿は見えない。
だがいる。
確かに私と紅の仕合の邪魔をし、あわよくば二人とも亡き者にし、争奪戦を有利に進めようとした姑息な輩がどこかに潜んでいる。
「……」
寒空にもかかわらず頬を伝う緊張の汗。
身じろぎ一つ出来ぬまま、私は周囲1メートルに意識を集中させる。
警戒という名の結界。
それは紅も同様だ。
彼の集中力は並みではない。
真に意識を細く尖らせていたならば、振り向かずともどんな死角からの攻撃にも反応できる。
それ程の専心だった。
…二人だけだ。
敵の姿は見えない。
だがいる。
確かに私と紅の仕合の邪魔をし、あわよくば二人とも亡き者にし、争奪戦を有利に進めようとした姑息な輩がどこかに潜んでいる。
「……」
寒空にもかかわらず頬を伝う緊張の汗。
身じろぎ一つ出来ぬまま、私は周囲1メートルに意識を集中させる。
警戒という名の結界。
それは紅も同様だ。
彼の集中力は並みではない。
真に意識を細く尖らせていたならば、振り向かずともどんな死角からの攻撃にも反応できる。
それ程の専心だった。