御影の王
立て続けに放たれる、矢の高速連射。

「さぁどうするのだ乙女、このままでは埒があくまい」

「少し黙っておらぬか!私とて思案している!」

半ば癇癪を起こすように、私は紅を怒鳴った。

怒鳴られた紅はというと、そんな私の激昂を楽しんでいる節さえある。

どこまで性格が歪んでいるのだろう、この男は!

どうしても気に入らなかった。

命を狙ってくる頭上の弓兵より、まずは目前の紅に吠え面をかかせてやらねば気がすまない。

戦場でそんな事を考えてしまう私もまた、どうかしていたのかもしれない。

そんな精神状態なものだから。

「……!」

逆転の秘策もまた、突拍子もないものであった。

< 55 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop