御影の王
最終章、「得心がいった」
タンタン、と。

雑居ビルの中から乙女の軽い足音が聞こえた。

どうやら弓兵を上手く仕留める事ができたらしい。

「……」

俺は自分の腕の具合を確かめる。

如何に乙女が小柄で軽量だったとはいえ、人一人を屋上まで打ち上げたのだ。

腕の筋肉には相当な負荷がかかる。

腕は先程から微かな震えが止まらないままだった。

何とか悟られない程度に震えを抑える事はできるものの、戦闘続行となると少々厳しいものがある。

ましてや相手は乙女だ。

手負いの状態では苦戦は必至。

これはいよいよ、この場での敗北を覚悟せねばならないかも知れぬ。

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