御影の王
騎士道。

たかだか一介の女子高生が、何故そのような言葉を口にするのか。

しかし不思議と違和感もなければ、乙女が騎士道を語るのは当然のような気もしたのは何故だろう。

「戦うならば正々堂々。貴方とは何の言い訳も立たない状況で、真っ向からの勝負をしたい。なればこそ、その腕の傷は完治するまで戦わぬ。異存は?」

「……」

その言葉に、笑いすら出た。

こいつはやはり阿呆だ。

このような血生臭い戦いの場にはそぐわないほどの、正真正銘の阿呆。

「何が可笑しい!?異存はあるかと訊いておるのだ」

両手を腰に当て、少し恥ずかしげに、しかし強気に睨みをきかせる乙女に。

「いや、ない。得心がいった」

俺は頷く。

乙女がこういうのだ、仕方あるまい。

本日の戦いはここまでだ。

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