御影の王
ならばこのような場所には最早用がない。

俺と乙女は帰途に着く。

槍と刀を携えた未成年が並んで歩く様は、さぞかし奇怪な光景に映った事だろう。

道行く人々が皆振り返り、俺と乙女に視線を送る。

しかし、そのような些事は置いておき。

「紅」

乙女は歩きながら俺に声をかけた。

「ひとつ提案があるのだが聞いてくれるか?」

「何だ?」

いつも横柄な態度の乙女が提案というのには興味があった。

もっとも、横柄な態度では他人の事は言えぬが。

「うむ…貴方と刃を交えるのはその腕が治るまで控えると言った矢先だが…どうだ紅、協力体制をとらないか?」

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