御影の王
乙女の提案は俺にとっても魅力的だった。

当面の所、御影の王争奪戦における最大の敵は、この乙女だ。

これ程の使い手はそうはいない。

他の相手なら俺一人でもどうとでもなるが、常に乙女からの攻撃も気にしながらの戦いとなると、どうしても集中力を欠く事になってしまう。

その点協力体制を取れば、強敵の筈の乙女に背中を預ける事ができる。

その上万が一、一人では手こずる相手でも、二人がかりで戦う事が出来る。

騎士道とやらを重んじる乙女は嫌がりそうだが。

とにかく最後に俺と乙女の二人だけになるまでは共闘できるというのが強みだ。

「悪くない提案だ。俺としては断る理由はない」

「決まりだな」

柔らかく微笑む乙女。

その時になって初めて、この女も笑えばなかなかに可愛らしいなと、不覚にも考えてしまう自分に気づいた。


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