!! MISUNDERSTANDING !!
視線だけ、女の横に向けてその後ろを見る。


……なんだ、こりゃ?


汗だくのデブが、ハァハァ息を切らしながら、勇敢にも野郎どもの威嚇に立ち向かってる姿が見える。

何かよくわかんねーけど、まぁ女が近寄りたくねぇ気持ちはわかんねーでもねぇ。

野郎どもが手を出さねぇのをいいことに、調子に乗りやがったデブがズカズカと俺の方に歩いてきやがる。

その距離が縮まるのを感じると、女が唇を震わせながら俯く。

別にこの女の前で良いカッコしてぇわけじゃねーけど、ココでこのデブを好きにイキがらせておくわけにはいかねぇし。

そう思いながら立ち上がった。

女が俺を見上げる。
その目は驚いてるようでもあり、すがってるようでもあり、怖がっているようでもあり。

そんな目を見下ろしたまま、腰にまわしたままの腕にちょっと力を込めて、女を俺の後ろに除けた。

野郎どもが黙りこんで、俺に注目する。
俺が動くとは思ってなかったんだろう。
哀れな目でデブ男を見てる。

威勢良く俺に『汚れる』だの何だの言ってやがる男を、痛々しい目で見てる。
< 23 / 40 >

この作品をシェア

pagetop