!! MISUNDERSTANDING !!
女を見ると、俺の視線に答えるように首を横に振る。
それを確認してから、デブ男に問いかけた。

「…てめぇ…誰に向かって口聞いてんだ…」

一瞬男の顔が引き攣る。
開いた口をグッと閉じた。
その口が再び開かれる前に、俺は一歩踏み出すと、男の側頭に回し蹴りを決めた。

あっさりしたもんだった。


なんだ…、やっぱ口だけかよ…。


その一発で男は落ちた。
巨体が地面に横たわる。
男の横に立ってたヤツらに、視線と顎で「片付け」の合図を送ってから、女の方に向き直った。

女がポカンとした顔で俺を見てる。


まさか自分の為に…とか思ってるんじゃねぇだろうな?

女は単純だ。
守られれば、男は自分に気があると思いやがる。
女はめんどくせぇ。

近づく俺に向かって、女が初めて口を開いた。


『か……』


か?
カッコイイとか言うのか?
ったく、だからうぜぇって……


そんな余裕をブッかます俺に放たれた、とんでも発言。
今度は俺がポカンとする番だった。


『かたじけない………。』
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