!! MISUNDERSTANDING !!
唖然と2つの背中を眺めていると、私に近い方の背中が不意に向きを変える。

『どしたの?行こーよ。』


「え…? あ、はい。」


人懐こい笑顔を向けられて、思わずそう答えてしまった。
小走りで2人に近づく間に、また良からぬ考えが頭を過ぎる。

なんで家まで送ってくれるの?
あっ!!まさかっ!!
家族ぐるみで脅されるんじゃ……。
父や母まであんなコトしろとか、こんなコトしろとか言われるんじゃ……。
それとも、お金?
お金なの?!

サーッという血が引く音が聞こえた気がした。

2人のすぐ後ろまで近付くも、エンジンのかかってしまった脳の暴走は、そう簡単には止まらない。
青い顔をして、斜め後ろから2人の横顔を眺める。
どうやって逃げ出そうか、2人を観察しながら考える。

左側の爽やか清さん。
明るすぎない茶色の髪。
私から見える右耳にはシルバーのピアスが2個。
細いけど、運動神経良さそう。
背は……どれくらいだろう。175センチとか?
ちょっと可愛い感じの、愛嬌のある顔。
白い学らんを着崩すコトなく、詰襟の部分だけ開けて着ている。
間違いなく王子様キャラ。
モテそう…… 率直にそう思った。

右側の不機嫌狼男。
ボサッと伸ばした長めの黒髪。
ジュエリーは何も見えない。
左の手首にゴツい時計があるだけ。
背は清さんよりも高い。
キリッと凛々しいその顔は、雑誌から飛びててきたみたいに整っているのに、愛嬌の欠片どころか、破片すらない。
さっきの回し蹴りといい、ブチ当たった胸板といい、腰にまわされた腕といい、ガタイも良けりゃ、力も喧嘩も強いと思われ。
清さんとは対照的に、白学らんのボタンを全部外し、肌蹴た中には黒いTシャツが見えている。
コッチの率直な感想…… 怖い…。

逃げるの…… やっぱ無理っぽい……。
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