カスタネット・ラブ
カタッ

隣の席に気配と、鞄を置く音が聞こえた。


「フゥッ」

早川君のため息が、寝息を想像させてドキドキした。

なんだか長らく聞いていないような感覚がした。

すると

気配が少し近付いた気がした。

そして

「お前、足早いよ。」



胸が熱くなった。

早川君がボソッというのだから。

ドキドキを超えた恥ずかしい気持ちが爆発しそう。


今、顔をあげたら真っ赤だろう。

そして、おかしな表情をしている。

寝たふりをするしかない。

「…スーッスーッ」

早川君の真似をした。

ずっと見ていた息使いを。

きっと貴方はわからないだろうけど、心が落ち着く魔法。

わかってしまったらとんでもないけれど。
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