魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
それだ、それ。
最初確かこの指輪が取れないからハンバーグなんて作れないじゃん、って拗ねたのが。
多分、キョウがうちで料理担当になったきっかけだったと思う。
最初に作ってくれたどす黒いスープに、テントウムシの水玉が綺麗に浮いていたのを思い出して、一瞬苦いものが口の中に浮かんでくる。
「ユリア?
指輪、欲しくない?」
変な顔になった私を見て、キョウが首をかしげた。
「指輪?」
「そう。
魔界の力が消えても、なくならない指輪」
なんてことない顔でそういうと、キョウは店頭に飾ってあった指輪を指差して、店員さんにもってきてもらう。
私の左指のサイズを測り、同時に、いくつかの指輪を試着させてもらった。
「どれがいい?」
なんてキョウは真顔で聞いてくるけど。
どういう意味かしら、と。
私の心にはじわじわと不安が広がってくる。
魔界の力が私から消えるってこと?
……まさか、まさかねぇ。
上品な黒いスーツに身を包み、婚約者を見つめる温かい眼差しでこちらを見ている女性店員さんの前で、魔界の話を始めるわけにもいかない私は気持ちを切り替えるほかない。
最初確かこの指輪が取れないからハンバーグなんて作れないじゃん、って拗ねたのが。
多分、キョウがうちで料理担当になったきっかけだったと思う。
最初に作ってくれたどす黒いスープに、テントウムシの水玉が綺麗に浮いていたのを思い出して、一瞬苦いものが口の中に浮かんでくる。
「ユリア?
指輪、欲しくない?」
変な顔になった私を見て、キョウが首をかしげた。
「指輪?」
「そう。
魔界の力が消えても、なくならない指輪」
なんてことない顔でそういうと、キョウは店頭に飾ってあった指輪を指差して、店員さんにもってきてもらう。
私の左指のサイズを測り、同時に、いくつかの指輪を試着させてもらった。
「どれがいい?」
なんてキョウは真顔で聞いてくるけど。
どういう意味かしら、と。
私の心にはじわじわと不安が広がってくる。
魔界の力が私から消えるってこと?
……まさか、まさかねぇ。
上品な黒いスーツに身を包み、婚約者を見つめる温かい眼差しでこちらを見ている女性店員さんの前で、魔界の話を始めるわけにもいかない私は気持ちを切り替えるほかない。