魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「打ち合わせてくるから良い子で待っててね」

キョウはそういうと、私を置いて担当の定員さんと二人でどこかに行ってしまった。
私は出されたコーヒーを飲みながら、時間を潰す。

「素敵なフィアンセですね」

コーヒーを出してくれた定員さんに、うっとりするような口調でそう言われた。
私は曖昧に笑う他ない。

「ありがとうございます」

私がお礼を言ったからか、その若い女性定員さんがぐっと話に乗ってくる。

「私、仕事柄たくさんカップル見てるんですけど。
あんなに若いのに落ち着いていて、リーダーシップをとりながらも彼女を気遣ってあげるかっこいい人って、なかなか見たことありません」

などと、褒めちぎってきた。

……本当ですか?
そんなに一瞬にして、そこまで彼のこと見抜いちゃいました?

っていうか、新しい営業トークか何かかしら?
私は警戒心が高まって、どぎまぎしてしまう。

だって、彼女はその後にっこりして「だから、そんな彼に秘密でこのアクセサリー、贈って上げたらどうですか?」なんて言い出すんじゃないかと思って。

いや、別にクリスマスだし。

……そっか。

私はそこで不意に肝心なことに気がついた。

私、キョウに何もプレゼント用意してなかった……。
< 115 / 390 >

この作品をシェア

pagetop