魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「ありがとう、キョウさん」
ジャックは人懐っこい笑みを浮かべると、男たちのほうに向き直り、肉食動物が獲物を見つけたときのように、ぺろりと紅い舌を出して唇の周りを舐めて見せた。
しかし、相手は丸腰の男二人。
ジャックの手に握られた鈍く光る拳銃を見て、腰を抜かしたのか。
「うぉおおおおおおおっ」
と、表現するのにも難しいような言葉にならない悲鳴を喉から搾り出し、部屋の奥の非常階段の方へと下半身剥き出しのまま走っていってしまった。
「これから本番なのに、ツマンナイの」
ジャックはぼやきながらも、軽やかに綾香のほうへと足を進めた。
キョウはポケットからナイフを出して、ジャックに投げる。
ジャックは振り向きもせずにそれを受け取ると、ざくっと、ロープを切って綾香を解放してやった。
器用に刃先を使って、手錠の鍵も外している。
「ジャックっ」
綾香は乱れた服のまま、ジャックの首に抱きついた。
スカートこそ無事だが、セーターは無残に切り刻まれている。
ジャックはダッフルコートを脱いで、綾香を優しく包んでいた。
ろくでもない悪魔を間近で見たせいか、優しいジャックが光り輝いて見える。
ふわり、と。
ジャックの細い身体が一瞬、天使のような金色のオーラに優しく包まれたのを、夢うつつの気持ちで私は眺めていた。
ジャックは人懐っこい笑みを浮かべると、男たちのほうに向き直り、肉食動物が獲物を見つけたときのように、ぺろりと紅い舌を出して唇の周りを舐めて見せた。
しかし、相手は丸腰の男二人。
ジャックの手に握られた鈍く光る拳銃を見て、腰を抜かしたのか。
「うぉおおおおおおおっ」
と、表現するのにも難しいような言葉にならない悲鳴を喉から搾り出し、部屋の奥の非常階段の方へと下半身剥き出しのまま走っていってしまった。
「これから本番なのに、ツマンナイの」
ジャックはぼやきながらも、軽やかに綾香のほうへと足を進めた。
キョウはポケットからナイフを出して、ジャックに投げる。
ジャックは振り向きもせずにそれを受け取ると、ざくっと、ロープを切って綾香を解放してやった。
器用に刃先を使って、手錠の鍵も外している。
「ジャックっ」
綾香は乱れた服のまま、ジャックの首に抱きついた。
スカートこそ無事だが、セーターは無残に切り刻まれている。
ジャックはダッフルコートを脱いで、綾香を優しく包んでいた。
ろくでもない悪魔を間近で見たせいか、優しいジャックが光り輝いて見える。
ふわり、と。
ジャックの細い身体が一瞬、天使のような金色のオーラに優しく包まれたのを、夢うつつの気持ちで私は眺めていた。