魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「休もうか?」
私を待っていたキョウは、既にボードを外して抱えていた。
まごまごしている私のボードを簡単に外して、ついでに一緒に抱えてくれる。
その、無駄の無い動きにいつの間にか見惚れていることに気づき慌てて視線を逸らす。
「何か食べる?」
ログハウス風のレストラン兼休憩所に向かって足を進めながら、キョウが聞く。
「ううん、ココアとか飲みたいな」
「缶でもいい?」
こくりと頷くと、すぐ傍の自販機でココアを二つ買ってくれた。
「どうぞ」
グローブをつけている私のために、丁寧にプルタブを開けて渡してくれる。
「ありがとう」
ゴーグルを取ったその顔は、普段良く見知っているもののはずなのに、私の心臓は冗談みたいにとくんと跳ねた。
それに気づいたのか、同じようにココアを飲んでいるキョウが、紅い唇でふわりと笑う。
緊張感を全て溶かすような、飲んでいるココアをも上回るほどの甘い笑みだ。
彼を盗み見していた周りの女性から、ため息が漏れるのがうっすらと聞こえてくる。
この悪魔は、何処にいても人の視線を奪って離さないのだ。
「ねぇ、キョウ」
何故だろう。
私は、切り出すなら今しか無いとそう思った。
「ん?」
柔らかい眼差しに縋りつきそうになる自分に、そっと渇を入れる。
ずっと、ずっと心の奥に小骨のように引っかかっていることが一つだけあった。
キョウが好きなのは、私、じゃない。
「私が、もしもマドンナ・リリーじゃなかったら……。
どうしてた?」
私を待っていたキョウは、既にボードを外して抱えていた。
まごまごしている私のボードを簡単に外して、ついでに一緒に抱えてくれる。
その、無駄の無い動きにいつの間にか見惚れていることに気づき慌てて視線を逸らす。
「何か食べる?」
ログハウス風のレストラン兼休憩所に向かって足を進めながら、キョウが聞く。
「ううん、ココアとか飲みたいな」
「缶でもいい?」
こくりと頷くと、すぐ傍の自販機でココアを二つ買ってくれた。
「どうぞ」
グローブをつけている私のために、丁寧にプルタブを開けて渡してくれる。
「ありがとう」
ゴーグルを取ったその顔は、普段良く見知っているもののはずなのに、私の心臓は冗談みたいにとくんと跳ねた。
それに気づいたのか、同じようにココアを飲んでいるキョウが、紅い唇でふわりと笑う。
緊張感を全て溶かすような、飲んでいるココアをも上回るほどの甘い笑みだ。
彼を盗み見していた周りの女性から、ため息が漏れるのがうっすらと聞こえてくる。
この悪魔は、何処にいても人の視線を奪って離さないのだ。
「ねぇ、キョウ」
何故だろう。
私は、切り出すなら今しか無いとそう思った。
「ん?」
柔らかい眼差しに縋りつきそうになる自分に、そっと渇を入れる。
ずっと、ずっと心の奥に小骨のように引っかかっていることが一つだけあった。
キョウが好きなのは、私、じゃない。
「私が、もしもマドンナ・リリーじゃなかったら……。
どうしてた?」