魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
登校時、綾香を送ってきたのだろう。
逆方向に歩くエイイチロウさんを見かけた。

「エイイチロウさんっ」

声を掛けると私を見て、安心したような笑みを浮かべこちらに歩いてきてくれた。

「大丈夫だった?」

「うん、お陰さまで、何とか。
やっぱりまだお酒は駄目みたい。
それより、綾香どうだった?」

「その件なんだけどさ。
放課後、家に行ってもいい?」

ドキリ、と。
心臓が跳ねた。

家に居る人のことを思い描いただけで、なんなんだろう。
私の心臓。

それを誤魔化すように視線を逸らす。

「いいけど、ジャックが居るかも」

「別に居ても構わないけど」

エイイチロウさんが不思議な顔をした。
そりゃそうだ。

ついさっきまで、私はジャックのこともエイイチロウさんのことも『男』として意識したことがなかった。

だから。
そうなんだけど。

「まだ、酔いが抜けてないんじゃない?」

エイイチロウさんの勘違いに急いで乗っかる。

「うん、きっとそうね。じゃあ、放課後に」

私は逃げるように駆け出していた。
どうしちゃったのかしら、私の心臓!
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