魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
ドキドキと、心臓が甘い痛みを立てている。
そのたびに、脳裏に浮かぶのはふわりとした金髪を持つ、どこぞの国の皇太子を思わせるような華麗な美青年のことばかり。

こここ、こういうのってさ。
世間で『恋』なんて名前がついている代物なのではないのかしら。

恋ーってことは。
初恋?

不思議なんだけど。
私が『初恋』って思えば思うほど、頭だか心だかの中にあるストッパーが働いて『初恋は経験済み』と教えてくるの。

どうして?
誰なの?

私の初恋相手って!

考えても、それ以上は真っ白で全く頭が働かない。


相手も思い出せないような初恋体験なんてあっていいのかしら?

それとも。
ジャックが『人』でないから。

恋は危険だと私の本能が騒いでいるのかしら。


分からないけれど。
この、胸騒ぎにも似た絶え間ない胸の甘い痛みは決して不快ではないと、感じていた。

そう。
それだけが今の、私の中の唯一の真実。
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