魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「……じ、人身売買って」
私は考えるより前にその、非日常の響きがする言葉をなぞっていた。
エイイチロウさんは、何故かそこでうっとりするような笑顔を浮かべる。
「人間同士が人間を売り買いしなくても、悪魔がきちんとやるのにねぇ」
えーっと、エイイチロウさん、何かの宗教に属していらっしゃるのでしょうか?
でも、確か、その話題は誰かから聞いた『友達としてはいけない話』のベストスリーに入っていたはずなので、深入りしないことにする。
「私に何か出来ることってあるのかしら?」
「物理的には、土曜日の見合いの席に乗り込んでぶち壊すって言うのが手っ取り早いんじゃないかな。
ただ、それより前に金で解決するって手もある」
「解決、出来るかな?」
「話の進め方次第だよね」
少なくとも、綾香の同級生の私が出向いても、どうこうできる話ではない気がした。
「逃げちゃ駄目なの?
綾香のお母さんと二人で、どこか遠くに」
くすり、と、エイイチロウさんが小ばかにしたような笑いを漏らす。
「ユリアちゃんって、しっかりしているように見えて、やっぱりまだまだ子供なんだね。
『どこか遠く』なんて便利な場所、この世には存在しないって」
「……そうかもしれないけど」
でも、とりあえずこの場を離れることで、なんとか助かることだってあるかもしれないのに。
エイイチロウさんは、存外に意地の悪い笑みをその愛らしい口許に浮かべていた。
ちょっと、悪魔の笑い、を想像させるような嫌な表情に、私は思わずコーヒーを飲み込んで視線を逸らす。
私は考えるより前にその、非日常の響きがする言葉をなぞっていた。
エイイチロウさんは、何故かそこでうっとりするような笑顔を浮かべる。
「人間同士が人間を売り買いしなくても、悪魔がきちんとやるのにねぇ」
えーっと、エイイチロウさん、何かの宗教に属していらっしゃるのでしょうか?
でも、確か、その話題は誰かから聞いた『友達としてはいけない話』のベストスリーに入っていたはずなので、深入りしないことにする。
「私に何か出来ることってあるのかしら?」
「物理的には、土曜日の見合いの席に乗り込んでぶち壊すって言うのが手っ取り早いんじゃないかな。
ただ、それより前に金で解決するって手もある」
「解決、出来るかな?」
「話の進め方次第だよね」
少なくとも、綾香の同級生の私が出向いても、どうこうできる話ではない気がした。
「逃げちゃ駄目なの?
綾香のお母さんと二人で、どこか遠くに」
くすり、と、エイイチロウさんが小ばかにしたような笑いを漏らす。
「ユリアちゃんって、しっかりしているように見えて、やっぱりまだまだ子供なんだね。
『どこか遠く』なんて便利な場所、この世には存在しないって」
「……そうかもしれないけど」
でも、とりあえずこの場を離れることで、なんとか助かることだってあるかもしれないのに。
エイイチロウさんは、存外に意地の悪い笑みをその愛らしい口許に浮かべていた。
ちょっと、悪魔の笑い、を想像させるような嫌な表情に、私は思わずコーヒーを飲み込んで視線を逸らす。