魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「追えば逃げる、逃げれば追う……ってね」
歌うような口調に、仕方なく私は目を上げる。
エイイチロウさんの表情は、いつもの優しい笑みへと戻っていた。
「何、それ?」
「あれ、有名な歌詞なんだけど、知らない?」
残念だけど、心当たりはなかった。
私が肩を竦めて見ると
「ジェネレーションギャップかなぁ」
と、エイイチロウさんはぼやいて見せた。
それから、まぁいいや、と笑顔を戻す。
「そういう心理ってあるんだよね。
つまり、アヤカちゃんが安易に逃げ出すと、おじさんの追っかけたいっていう本能に火をつけるってことだよ」
「ふぅん」
そんなものなのかどうか、私には分からなかった。
――追えば逃げる、逃げれば追う
頭の中で、その曲をリプレイしてみる。
何度も、何度も。
そして、ひらめいた。
多分、このひらめきってニュートンが重力を発見したときにも似ているんじゃないかって思う。
私って凄いわ~!なんて、心の中で自画自賛してから口を開いた。
「じゃあ、追っかければいいんじゃない?逃げるわよ!」
………
エイイチロウさんはたっぷり時間をかけて、私を見つめ、半分飲んだはずのブラックコーヒーに改めて砂糖を入れるという不可思議な動作までして、沈黙時間を稼いで見せた。
何よ!
世紀の大発見なのにっ。
歌うような口調に、仕方なく私は目を上げる。
エイイチロウさんの表情は、いつもの優しい笑みへと戻っていた。
「何、それ?」
「あれ、有名な歌詞なんだけど、知らない?」
残念だけど、心当たりはなかった。
私が肩を竦めて見ると
「ジェネレーションギャップかなぁ」
と、エイイチロウさんはぼやいて見せた。
それから、まぁいいや、と笑顔を戻す。
「そういう心理ってあるんだよね。
つまり、アヤカちゃんが安易に逃げ出すと、おじさんの追っかけたいっていう本能に火をつけるってことだよ」
「ふぅん」
そんなものなのかどうか、私には分からなかった。
――追えば逃げる、逃げれば追う
頭の中で、その曲をリプレイしてみる。
何度も、何度も。
そして、ひらめいた。
多分、このひらめきってニュートンが重力を発見したときにも似ているんじゃないかって思う。
私って凄いわ~!なんて、心の中で自画自賛してから口を開いた。
「じゃあ、追っかければいいんじゃない?逃げるわよ!」
………
エイイチロウさんはたっぷり時間をかけて、私を見つめ、半分飲んだはずのブラックコーヒーに改めて砂糖を入れるという不可思議な動作までして、沈黙時間を稼いで見せた。
何よ!
世紀の大発見なのにっ。