魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「大丈夫かな、綾香」
「とりあえず、公衆の面前で大事件は起きないでしょう?」
不安を抱えた私の疑問に、エイイチロウさんは、前菜に箸をつけながらのんびりと言う。
「そうかなぁ……」
とはいえ。
今私がここで出来ることと言えば、目の前のおいしそうな料理を食べることくらいしかないわけで。
エイイチロウさんの箸が、私の前菜に伸びてくる前に自分の分を食べ始めた。
「いらっしゃいませ」
プロのはずの店員の声が、わずかに強張った。
私は向かいのエイイチロウさんに話しかけるのを装って、そちらに目をやった。
お!
絵に描いたような悪徳業者面の、メタボ検診なんて受けたらいっぱつで引っかかりそうなでっぷりした年配のおっさんがサングラスを外さないままに入ってきた。
「アイツですよ」
手鏡でその姿を確認したエイイチロウさんが小声で言う。
うーん、ベタな上にもベタ過ぎる。
正直、私も綾香と同い年だけど見合相手なんて言ってこんな写真持ってこられたら全力で拒否っていうか。
逃げ出すわ。
そこまで考えて、心臓がずきりと痛んだ。
こんな仕打ちを受けても、逃げられない綾香のことを考えて。
「とりあえず、公衆の面前で大事件は起きないでしょう?」
不安を抱えた私の疑問に、エイイチロウさんは、前菜に箸をつけながらのんびりと言う。
「そうかなぁ……」
とはいえ。
今私がここで出来ることと言えば、目の前のおいしそうな料理を食べることくらいしかないわけで。
エイイチロウさんの箸が、私の前菜に伸びてくる前に自分の分を食べ始めた。
「いらっしゃいませ」
プロのはずの店員の声が、わずかに強張った。
私は向かいのエイイチロウさんに話しかけるのを装って、そちらに目をやった。
お!
絵に描いたような悪徳業者面の、メタボ検診なんて受けたらいっぱつで引っかかりそうなでっぷりした年配のおっさんがサングラスを外さないままに入ってきた。
「アイツですよ」
手鏡でその姿を確認したエイイチロウさんが小声で言う。
うーん、ベタな上にもベタ過ぎる。
正直、私も綾香と同い年だけど見合相手なんて言ってこんな写真持ってこられたら全力で拒否っていうか。
逃げ出すわ。
そこまで考えて、心臓がずきりと痛んだ。
こんな仕打ちを受けても、逃げられない綾香のことを考えて。