魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
どうせ俺の言ってることわかんないでしょ、別にいいよ?

なんていう、慈悲を込めた眼差しでキョウが私を見ているから、頭をフル回転させて話を理解しようと努めてしまう。

ああ、なんてけなげな私なのっ。

「それに、綾香の父親が持っていた企業の中では小さな部類の会社だったしね。
で、とりあえず買取資金にありえないような色をつけてやった。
元手はもちろんジャックが稼いでくれたお金を運用したらあっという間にお金が増えて助かったよ。
ついでに、綾香に手を出さないよう誓約書まで書かせた。
もちろん、魔界の誓約書にサインを貰ってるから誓いを破ったらすぐにあいつは死ぬことになってる。
……っていっても、その誓約書にちょっと手間取ってそれを手に入れたのは、今日の午前中なんだけどね」

……ふぅん。
  私、頭が悪いのかしら。
  最初から誓約書だけとりつけておけば、万事解決したんじゃないの?

「なんで、アヤカもその母ももう安全ってわけ」

分かった?なんて、子供に聞くように優しく問うのは止めて欲しい。

「分かった、けど。
最初から誓約書だけとりつけておけば、お金なんていらなかったんじゃないの?」

「あれ?
浮気相手に随分と冷たいことを言うんだね」

「浮気?」

思わず声が裏返る。
< 288 / 390 >

この作品をシェア

pagetop