魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「私、ブーツを玄関に置いてくるわね」
ベッドから飛び降りようとした瞬間、腕がつかまれた。
反動で、ブーツもコートも床に落ちていく。
「ちょ……っ」
ちょっと、何するのよっ
脊髄反射で出てきた言葉は、強引なキスに飲み込まれた。
「それよりも、ベッドの中に戻ってきたユリアの頭の中が知りたいな」
甘く煌く瞳と、からかいの色をふんだんに帯びた笑い声が上から降ってくる。
……そう、上。
頭上、ではなく。
いつの間にか私が、シーツの上に押し倒されてしまっているっていうこと。
嫌味なほど筋の通った鼻。
黒曜石を思わせる、艶やかな瞳は、支配者の色を帯びている。
卵形の輪郭に、ウェーブのかかった黒髪が垂れていて、それだけで彼の妖艶さが増す。
見慣れて然るべき回数、この角度の顔を見てきたはずなのに。
いや、だからこそ、か。
私の鼓動は意味ありげに高鳴り、身体の底からこみ上げる興奮のせいか、静かに呼吸をすることすら難しくなってくる。
その瞳は、ライオンが獲物の死にいく様を眺めるのに似た強い光を宿し、うっとりと私を見つめていた。
も、もしかして。
私のこと食料と勘違いしていません?
ヘンゼルとグレーテルに出てくる魔女と同じで、私が太るのを待っているのかもしれないわ。気をつけなきゃ。
そのくらい、野性味を帯びた、危うい眼差しが手の届く距離にある。
「逃げたかっただけよっ」
存外に、自分の声が震えていて驚いた。
ベッドから飛び降りようとした瞬間、腕がつかまれた。
反動で、ブーツもコートも床に落ちていく。
「ちょ……っ」
ちょっと、何するのよっ
脊髄反射で出てきた言葉は、強引なキスに飲み込まれた。
「それよりも、ベッドの中に戻ってきたユリアの頭の中が知りたいな」
甘く煌く瞳と、からかいの色をふんだんに帯びた笑い声が上から降ってくる。
……そう、上。
頭上、ではなく。
いつの間にか私が、シーツの上に押し倒されてしまっているっていうこと。
嫌味なほど筋の通った鼻。
黒曜石を思わせる、艶やかな瞳は、支配者の色を帯びている。
卵形の輪郭に、ウェーブのかかった黒髪が垂れていて、それだけで彼の妖艶さが増す。
見慣れて然るべき回数、この角度の顔を見てきたはずなのに。
いや、だからこそ、か。
私の鼓動は意味ありげに高鳴り、身体の底からこみ上げる興奮のせいか、静かに呼吸をすることすら難しくなってくる。
その瞳は、ライオンが獲物の死にいく様を眺めるのに似た強い光を宿し、うっとりと私を見つめていた。
も、もしかして。
私のこと食料と勘違いしていません?
ヘンゼルとグレーテルに出てくる魔女と同じで、私が太るのを待っているのかもしれないわ。気をつけなきゃ。
そのくらい、野性味を帯びた、危うい眼差しが手の届く距離にある。
「逃げたかっただけよっ」
存外に、自分の声が震えていて驚いた。