魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「あの時、私はもう十二分に幸せでした。
人から獣の姿に変えられたとき――。
幸せを感じることなんて、もう、二度とないと諦めていました。
そんな私を幸せにしてくれたのは、貴女だったんですよ。
だから、その後の千年の私の苦労なんて、取るに足りないことなんです」

「イヤっ」

私は必死の想いで、彼の言葉を遮った。
泣いている、場合じゃない。

私に今、どうしてそんなことを告げるの?

ねぇ。
アナタ……、キョウじゃない。

マドンナ・リリーの原形を知っている。
『本物』なんでしょう?



「イヤよ。
どうして?
どうして他人行儀な言葉で、そんな話を切り出すの?
ダメよ。
私の記憶を封じて、魔界に戻るなんて、そんなの絶対に許さないんだからっ」

そうして。

また、私を楽にして。
自分だけ、罰を引きずり続けるなんて――。


許せない。

ねぇ。
マドンナ・リリーの記憶。

私が無くしたんじゃなくて、キョウが封じたんじゃないの――?


そんな疑念まで、沸いてくる。

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