雨の闖入者 The Best BondS-2
ジストの呼びかけに一瞬止まった手を見つめられているのは
刺さるほどの視線で理解していたが、
エナはすぐに作業を再開した。
「……何? くだらないことだったら言わないで」
「一昨日の夜、全てがくだらないって言ったよね。だけどね、エナちゃんと其れは別。もう一度言うよ。知ってることを、言いなサイ?」
「くだらなくないのはあたしじゃなくて、あたしの持ってる水晶、でしょ?」
エナは顔をあげた。
「ねえ、水晶って何? そんなに大事な意味があるものなの? ゼルをこんな目にあわせてまで! 手に入れなきゃいけないものなのっ?!」
「……」
視線を逸らして黙り込んだジストを睨み上げていたが、
時間の無駄だと察知したエナは再びゼルの体から流れ出る血を止めることへの努力を始めた。
「エナちゃんの水晶については知らない。ケド、俺の水晶に関しては……命を捨ててでも欲しがるヤツが……居ないこともない」
まだるっこしい言い方だが、漸く口にしたジストの言葉。
手を動かしながらも、その言葉に耳を傾ける。
「何の為に……?」
「さてな。その理由は俺も知らん。」
だが、命を捨ててまで欲しがる、その何者かは、他者の犠牲をも厭わないことだけは、これで確実になった。
それよりも、と言を告ぐジスト。
「……誰かに会ったんだな」
そのどこか冷たい声にエナは自らの失言を知る。
咄嗟にジストの顔色を窺うが、それがまた、彼の言葉の真実性を露呈してしまったと気付き、視線をゼルに戻す。
「いつ、何処で、どんな奴と会って、そいつに何を言われた? 目を逸らすな。答えるんだ」
隣にしゃがみ込み、顎を捕らえられ、無理矢理に彼と目を合わせざるを得ない状況を作り出される。
(何か怒ってるっぽいケド……なんで怒られなきゃなんないわけ?! 巻き込まれたの、あたしの方なんだけどっ?!)
心中でこっそりと不平を垂れ流すが、自分の場合、口だけではなく目も語ってしまうことを失念していた。
刺さるほどの視線で理解していたが、
エナはすぐに作業を再開した。
「……何? くだらないことだったら言わないで」
「一昨日の夜、全てがくだらないって言ったよね。だけどね、エナちゃんと其れは別。もう一度言うよ。知ってることを、言いなサイ?」
「くだらなくないのはあたしじゃなくて、あたしの持ってる水晶、でしょ?」
エナは顔をあげた。
「ねえ、水晶って何? そんなに大事な意味があるものなの? ゼルをこんな目にあわせてまで! 手に入れなきゃいけないものなのっ?!」
「……」
視線を逸らして黙り込んだジストを睨み上げていたが、
時間の無駄だと察知したエナは再びゼルの体から流れ出る血を止めることへの努力を始めた。
「エナちゃんの水晶については知らない。ケド、俺の水晶に関しては……命を捨ててでも欲しがるヤツが……居ないこともない」
まだるっこしい言い方だが、漸く口にしたジストの言葉。
手を動かしながらも、その言葉に耳を傾ける。
「何の為に……?」
「さてな。その理由は俺も知らん。」
だが、命を捨ててまで欲しがる、その何者かは、他者の犠牲をも厭わないことだけは、これで確実になった。
それよりも、と言を告ぐジスト。
「……誰かに会ったんだな」
そのどこか冷たい声にエナは自らの失言を知る。
咄嗟にジストの顔色を窺うが、それがまた、彼の言葉の真実性を露呈してしまったと気付き、視線をゼルに戻す。
「いつ、何処で、どんな奴と会って、そいつに何を言われた? 目を逸らすな。答えるんだ」
隣にしゃがみ込み、顎を捕らえられ、無理矢理に彼と目を合わせざるを得ない状況を作り出される。
(何か怒ってるっぽいケド……なんで怒られなきゃなんないわけ?! 巻き込まれたの、あたしの方なんだけどっ?!)
心中でこっそりと不平を垂れ流すが、自分の場合、口だけではなく目も語ってしまうことを失念していた。