雨の闖入者 The Best BondS-2
第四章『覚醒へと導く暁の光』
第四章『覚醒へと導く暁の光』
1.
眩しく光る美しい水面を見つめていると向かいの森の葉が不自然に揺れた。
手に持った籠に茸や薬草を詰め込んだロウウェルが川の向こう岸から現れてにっこりと微笑んだ。
水面よりも眩しい笑顔。
「ゼル兄、まぁたこんなところでサボって。テア姉がね、鞄が破れたから縫ってくれって言って探してたよ」
小川の音がさらさらと流れるのと同じような澄んだ声音は暖かい日溜まり。
「ったく、あいつはいつまでガキのつもりで居ンだよ。たまには自分でやれってんだ」
言いながらゼルは尻についた芝生を払いながら立ち上がる。
「なら、そう言えばいいのに。ゼル兄ってヘンに甘いとこあるからなぁ」
向かいでロウウェルが朗らかに言い放つ言葉に鼻で笑う。
「言ったところで、無理矢理押し付けるじゃねェかよ」
いったそばから自分で首を傾げた。
その言葉に自分で引っ掛かる部分を覚えたからだ。
「……テア……か?」
頭に一瞬浮かんだのはテアではなかったような気がしたのだが。
甘えるのが下手なテリアは申し訳なさそうにお願いするため、無理矢理という言葉は似合わない。
かといって、他に該当する人物も出てこない。
「……何言ってるの、ゼル兄」
「いや、なんでも……」
何かが心に引っ掛かる。
「ああ、後ね母さんがついでに人数分の干し草持って帰ってきてくれ、って」
「干し草? 何に使うんだ?」
「どうしたの、ゼル兄。ベッドに決まってるじゃないか」
そうだった。
干し草のベッド。
毎日使っているものだというのに、何故そんなことを聞いてしまったのだろう。
1.
眩しく光る美しい水面を見つめていると向かいの森の葉が不自然に揺れた。
手に持った籠に茸や薬草を詰め込んだロウウェルが川の向こう岸から現れてにっこりと微笑んだ。
水面よりも眩しい笑顔。
「ゼル兄、まぁたこんなところでサボって。テア姉がね、鞄が破れたから縫ってくれって言って探してたよ」
小川の音がさらさらと流れるのと同じような澄んだ声音は暖かい日溜まり。
「ったく、あいつはいつまでガキのつもりで居ンだよ。たまには自分でやれってんだ」
言いながらゼルは尻についた芝生を払いながら立ち上がる。
「なら、そう言えばいいのに。ゼル兄ってヘンに甘いとこあるからなぁ」
向かいでロウウェルが朗らかに言い放つ言葉に鼻で笑う。
「言ったところで、無理矢理押し付けるじゃねェかよ」
いったそばから自分で首を傾げた。
その言葉に自分で引っ掛かる部分を覚えたからだ。
「……テア……か?」
頭に一瞬浮かんだのはテアではなかったような気がしたのだが。
甘えるのが下手なテリアは申し訳なさそうにお願いするため、無理矢理という言葉は似合わない。
かといって、他に該当する人物も出てこない。
「……何言ってるの、ゼル兄」
「いや、なんでも……」
何かが心に引っ掛かる。
「ああ、後ね母さんがついでに人数分の干し草持って帰ってきてくれ、って」
「干し草? 何に使うんだ?」
「どうしたの、ゼル兄。ベッドに決まってるじゃないか」
そうだった。
干し草のベッド。
毎日使っているものだというのに、何故そんなことを聞いてしまったのだろう。