雨の闖入者 The Best BondS-2
「……そんな顔、似合わないよ」
小さく呟いて覗き込み、首の後ろに入り込んでいた紅の水晶に手を伸ばした。
雨の音が嘲笑うように、皮肉な拍手のように大きく耳の奥へと染み込んでいく。
無意識に息を殺していたエナは小さく息を吸った。
紅の水晶に触れると、そこにはジストの温もりと彼の汗が。
「……ごめん、ジスト」
ゆっくりと水晶がついた鎖の輪を外す。
手にしっかりと握り締め、引き寄せた時にそれは起こった。
エナの服の中に仕舞われていた虹水晶が胸元からするりと滑り落ち、紅の水晶にかつんと音を立ててぶつかったのだ。
エナは目を瞠った。
真昼とも思えるべき光が、広がる。
太陽が落ちてきたのかと思うほどの苛烈な光が周囲を圧倒する。
「……!!!」
声にならない悲鳴をあげて、エナは目を庇うように手の甲を翳(カザ)した。
利かない視界の中で紅の水晶が転がる音だけが耳に吸い込まれた……――。
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小さく呟いて覗き込み、首の後ろに入り込んでいた紅の水晶に手を伸ばした。
雨の音が嘲笑うように、皮肉な拍手のように大きく耳の奥へと染み込んでいく。
無意識に息を殺していたエナは小さく息を吸った。
紅の水晶に触れると、そこにはジストの温もりと彼の汗が。
「……ごめん、ジスト」
ゆっくりと水晶がついた鎖の輪を外す。
手にしっかりと握り締め、引き寄せた時にそれは起こった。
エナの服の中に仕舞われていた虹水晶が胸元からするりと滑り落ち、紅の水晶にかつんと音を立ててぶつかったのだ。
エナは目を瞠った。
真昼とも思えるべき光が、広がる。
太陽が落ちてきたのかと思うほどの苛烈な光が周囲を圧倒する。
「……!!!」
声にならない悲鳴をあげて、エナは目を庇うように手の甲を翳(カザ)した。
利かない視界の中で紅の水晶が転がる音だけが耳に吸い込まれた……――。
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