雨の闖入者 The Best BondS-2
*
「な、に……?」
何が起きたのか理解するまで少しの時間を必要とした。
水晶が光ってジストが目を覚ましたという現状把握くらいで、理解というには程遠い内容でしかなかったが。
光りがおさまった頃、紅の双眸がゆっくりと開かれ、普段からは想像も出来ないような柔らかな笑みで目を細めた。
エナが初めて見た無防備な彼の姿だった。
「……ああ、やはりお前が……」
ジストの大きな手がエナの頬に伸ばされる。
嘘偽りの無い瞳に見つめられ、エナは動くことが出来ずにその優しい手を受け入れる。
「ジスト……?」
今まで見たことも無い類の瞳に触れ、エナは少し戸惑う。
当初の目的も忘れてしまう程に、その眼差しは優しかった。
「お前が俺の命を望むのか……」
口の中で確かめるような呟き。
安堵したような、その表情。
「なんの話……?」
首を傾げて問うが、彼は笑みを深くするだけ。
「……いいんだ。いいんだよ。お前は何も知らなくて」
魅力的な笑みに不覚にも目を奪われた時。
ラフが足元で小さく唸った。
「いっ……!」
沿えられたままの手がすっと下がり、あまり主張していない胸を揉んだ。
頭に血が上るのと、手が出るのはほぼ同時だった。
「もっかい寝ろ!エロ魔神!!」
咄嗟に拳を振り下ろす。
頭にしっかりと拳を受けたジストはようやく意識が覚醒したのか、跳び起きて頭を両手で抑えて呻いた後に、いつもの自信に満ち溢れた――エナから見ればうそ臭いと形容する――笑みを浮かべた。
「その反応。夢じゃねえな」
くつくつと喉を鳴らすジストに青筋を立てたエナが怒鳴る。
「悪趣味な確認すんな!」
「な、に……?」
何が起きたのか理解するまで少しの時間を必要とした。
水晶が光ってジストが目を覚ましたという現状把握くらいで、理解というには程遠い内容でしかなかったが。
光りがおさまった頃、紅の双眸がゆっくりと開かれ、普段からは想像も出来ないような柔らかな笑みで目を細めた。
エナが初めて見た無防備な彼の姿だった。
「……ああ、やはりお前が……」
ジストの大きな手がエナの頬に伸ばされる。
嘘偽りの無い瞳に見つめられ、エナは動くことが出来ずにその優しい手を受け入れる。
「ジスト……?」
今まで見たことも無い類の瞳に触れ、エナは少し戸惑う。
当初の目的も忘れてしまう程に、その眼差しは優しかった。
「お前が俺の命を望むのか……」
口の中で確かめるような呟き。
安堵したような、その表情。
「なんの話……?」
首を傾げて問うが、彼は笑みを深くするだけ。
「……いいんだ。いいんだよ。お前は何も知らなくて」
魅力的な笑みに不覚にも目を奪われた時。
ラフが足元で小さく唸った。
「いっ……!」
沿えられたままの手がすっと下がり、あまり主張していない胸を揉んだ。
頭に血が上るのと、手が出るのはほぼ同時だった。
「もっかい寝ろ!エロ魔神!!」
咄嗟に拳を振り下ろす。
頭にしっかりと拳を受けたジストはようやく意識が覚醒したのか、跳び起きて頭を両手で抑えて呻いた後に、いつもの自信に満ち溢れた――エナから見ればうそ臭いと形容する――笑みを浮かべた。
「その反応。夢じゃねえな」
くつくつと喉を鳴らすジストに青筋を立てたエナが怒鳴る。
「悪趣味な確認すんな!」