もう一度君に恋をする
「もしかして急いでる?」
そわそわする私に気付いた雄大がそう聞いてきた。
「あ、うん…バイトが。」
「そっか。
じゃあ、また会えた時にでも話しよう。」
「うん…。」
「じゃあな。」
そのまま雄大は私の横を通り過ぎて行ってしまった。
私達はケータイの番号を交換せず別れた。
今度いつ会えるかなんてわからないけれど、また会えるんじゃないかって、何となくそう思う。
その日から心の奥にしまってた雄大がまた飛び出してしまった。
圭司と一緒に居ても上の空。
「チロ、最近心此処にあらずだね。」
「そう?」
圭司には気付かれたくなくて、必死に平常心を取り繕う。
そんなある日、私はまた雄大と会って声をかけそうになってしまった。