CornPotage【短編集】





放課後になっても


雪は静かに降っている






私は自販機に向かった




今日もお兄さん居るかな?









いた!








お兄さんはいつものように



缶を補充していた







私は黙ってコンポタのボタンを押した





ガタンッ






缶が落ちた音を聞き




お兄さんは私にニコッと笑った





「今日は雪降ってるね」



「はいっ」




「友達と雪合戦しないの?」




「もぅそんな年じゃないですよ。」




お兄さんは“そっか”と笑った





たわいのない会話なのに




どうしてこんなに楽しいんだろう











お兄さんは時々、




白い息で手を温めていた






お兄さんの手は赤くなっている





お兄さんはまた冷たい缶を




自販機に入れる









まるで昔の私みたい…



















私はその手を両手で包み込み






コンポタの温かい缶を握った














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